最近1年経つのが早すぎる 〜大人と子供の時間論〜

最近1年経つのが早すぎる。年々加速度的に早まっている気がする。令和もすでに5年目を迎えるらしい。このままだと平成生まれが時代遅れになる未来もそう遠くないのかもしれない。

 

そこで今回は、大人と子供の時間について考えていきたい。

 

一般的には子供より大人のほうが時間に余裕がなく忙しいと言われている。その一般論にちょっと疑問を呈したい。みなさんが思っているより現代の学生は忙しいと思う。ただし、人生の夏休みと言われて怠惰な生活を送るくされ大学生・大学院生はこの持論に含まない。あの人種はダラダラ空虚な時間を消費する定めなのだから。

 

本物の社畜のスケジュールは書くのもはばかられるほどの代物なので、今回は忙しい中学生だけ紹介する(中学生は忙しいといったが本物には勝てるはずがない)。

 

中学生は毎日8時前には学校に来る。会社と大差ない。そして6時間の勉強。勉強の楽しさに目覚めている中学生などそこらへんのガチャの当たりキャラより珍しいので、この時間は仕事みたいなものだ。その後部活、または習い事。好きで始めたはずのこれらのことが苦痛に変わるのは誰しもが通る道だろう。部活終わりに塾に行く生徒も、今どき珍しくない。そんな生徒が帰る時間は22時を超える事もある。まだ体もできていないのに大変だ。

 

そんなハードな生活を送りながら、10分しかない休み時間も友達と遊び、昼休みに校庭でサッカーなどをして走り回るのだから、中学生の体力は恐ろしい。いや、純粋な体力というよりは、秘めたエネルギーとでも言うしかないものを中学生は持っており、体中を探してもどこにもやる気スイッチなどは見つからない私などは、圧倒されてしまう。

 

私の情けない初老のようなコメントは忘れていただくとしても、こう振り返ると中学生の忙しさがわかってくれたことだろう。ただし、自分の中学だった頃のことを思い出すと、時間に追われているという感覚は皆無だった気がする。むしろやたら一日が、もっというと時間が長かったような……。

 

そんな一個人の平凡な疑問は、既にある哲学者が解答してくれている。

 

それはジャネーの法則と呼ばれるもので、「主観的に記憶される年月の長さは年少者にはより長く、年長者にはより短く感じられる」という現象を指す(Wikipediaより)。これは相対時間が関係している。

 

例を示すと、12歳の時の一年は12分の1だが、24歳の時は24分の1、60歳の時は60分の1となる。るまり、歳を重ねるごとに己にとっての1年の割合は小さくなる。よって、年を重ねると一年の体感時間は短くなる。

 

その理論で考えると、例え100歳まで生きる人でも、人生の体感時間の折り返し地点は20歳だそうだ。

 

なんと恐ろしい。私はまだ若いつもりだったが、とっくに人生の半分を終えているのかもしれない。


「時間は全員に対して平等ではなく、あくまで相対的なものに過ぎない」というのは、アインシュタイン相対性理論を聞き齧った知識での私の理解だが、こうした科学が解き明かした直感と異なる不思議な現象には驚かされてばかりだ。

 

また、往年の名曲で「青春時代は夢なんて後からほのぼの思うもの」という歌詞があるが、20代中盤の私は、体感時間ベースで考えると、そんな歌詞を噛み締める年齢になったということだろうか。

 

しみじみとおっさん臭い講釈を垂れてしまい、今をきらめく中学生の少年・少女には面白くない話だったかもしれない。

 

だが、ひとつだけ意識して欲しいのは、君たちの親、そして先生たちも皆、昔は子供だったということだ。それはありふれたメッセージかもしれないが、やはり普遍的な輝きを持つ。

 

また、自分よりお年を召した方にも、「何だこいつは、まだ若者のくせに」と怒られそうだ。人生死ぬまで青春というのりのおやじバンドが今も生き残っているかは知らないが、個人的には年を重ねるとそれ相応の変化を辿っていきたいと思う。

 

しかし、最近思うことは、精神年齢がある一定の年齢で止まる大人があまりにも多いということだ。私の好きなエピソードで、オードリー若林が40代になってからハマった遊びのバスケではしゃぎすぎた結果、左膝の靭帯を損傷する大怪我を負ったというものがある。その後「心の中にいつまでも男子高校生の自分がいる」的なコメントを残していた。

 

私の母親などは「今も心はまだ30代」と言ってはばからない。恥ずかしい限りだが、それくらいの厚かましさの方が、本当に若くいられるかもしれないと、暖かい目で何も言わず見守っている。

 

結局何が言いたかったのかは、自分でもよくわからない。

 

実際の年齢と体感年齢の差がこの記事の一番ポイントになる気はする。

 

最後に、こんな私も、いきなり「体感年齢ベースだとあなたは中年です」と切り捨てられて納得できるほど、まだ老け込んではいないつもりだ。